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会長挨拶

第68回日本麻酔科学会
年次学術集会の開催にあたって

廣田 和美

会長: 廣田和美
(弘前大学大学院医学研究科麻酔科学講座 教授)


この度、日本麻酔科学会第68回学術集会会長を拝命致しました。 東北地区選出の会長は、1993年4月に盛岡市で開催された第40回年次学術集会の岩手医科大学麻酔学講座教授・涌澤玲児先生以来、28年ぶりとなります。 東日本大震災によって、東北地区の医療は大変厳しい状況に置かれ、現在に至っておりますが、 そういう意味で東北に何かしらの活力をもたらすことができればと思っておりましたので、会長に選出されたことは、非常に光栄であり、 皆様に心より感謝申し上げます。

第68回年次学術集会は2021年6月3日(木)~5日(土)の3日間、神戸で開催を予定しております。 第40回大会の時のように東北地区で開催出来れば良いのですが、当時に比べ会員数は大幅に増え参加人数が1万人を超す規模の学術集会となりましたので、 この規模の学術集会を適切に行える会場は、東北地区には残念ながらありません。 また、国際麻酔科学史シンポジウム(ISHA)が6月3~5日に併催され会場も神戸であることが決まっておりますことから、 例年通り神戸での開催となりましたことを御了解頂ければと思います。

今回の学術集会のテーマは、「百寿社会と麻酔科医」と致しました。現在、我が国の平均寿命は、男性約81歳、女性約87歳であり、 最近の人口動態調査では、2007年生まれの子供の寿命中央値は107歳との予測が出ております。 つまり、百寿社会はすぐそこまで来ています。その一方で、健康寿命は男性で約72歳、女性で約75歳と、平均寿命と健康寿命との差は、 男性で約9年、女性では約12年あり、健康上問題のある期間が人生の最後に10年近く有ります。 このような高齢者が今後手術を受けることが多くなるわけですが、これら高齢患者さん達を、 如何に安全にまた術後の回復も速やかに周術期管理を行うかは、麻酔科医の大きな役割と考えます。 高齢者は、呼吸器、循環器の合併症や術後せん妄・認知機能低下を起こすことが多いわけですので、これらを予防したり素早く治療したりすることで、 穏やかな術後を患者さんに提供することが出来ます。また、病院にとっても在院日数短縮が図れ、厳しい環境下にある病院経営にも貢献できます。 高齢者の皆さんに健康で幸せな人生を送って貰うために、我々麻酔科医は、高齢患者さんの周術期管理に関する研究を臨床・基礎両面から行い、 その成果を社会に還元する努力をしていく必要があると思っています。そういう観点から、本学術集会では、 如何にしたら百寿社会に麻酔科医は貢献できるかを皆さんとともに考えていきたいと思っています。

これとは別に、昨今、働き方改革が叫ばれておりますが、麻酔科領域では特に女性医師の占める割合が他の領域に比べて高いという特徴があり、 通常の医師の働き方改革をそのまま当てはめるのは難しいと思っています。 働き手である若手麻酔科医の多くを占める女性麻酔科医は、男性麻酔科医と違って産休、 育休がキャリア形成の重要な時期に来ることや我国の男女共同参画が先進諸国に比べて遅れていることから、 麻酔科医師の働き方改革に大きな問題を投げかけています。このため、この点も開催期間中に招待講演、 シンポジウム等で皆様と一緒に考えていきたいと思います。
会員の皆様のご期待に応えられる学術集会となるよう、学術集会実行委員会の委員と共に、 現在領域ごとに鋭意企画を練っているところであります。日常臨床が多忙でなかなか時間を取ることが難しいとは存じますが、 本学術集会に御参加頂き、新しい知見を得て明日からの診療に役立てて頂ければと心より願っております。
皆様の多数の御参加を心よりお待ち申し上げます。

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